蛙星商会

蛙星商会と命名していますが何も販売してません。走って作っての趣味ブログです。

4DX映画を観てきた

全く知らなかったのだが、映画の上映方式に4DXというものがあり、面白いというので観に行ってみた。
ちなみに映画は「パトレイバー」。新作ではなく、昔の映画を4DX対応にしたもの。

そもそも4DXとはなんぞや、というものだが、シーンに合わせて座席が動いたり、観客に向かって雨が降ってきたり、風が吹いたり香りがしたりするというものです。
その分、お値段が1000円ぐらい高くなってます。

正直なところ、1000円分の価値があるかは微妙です。
レイトショーを観に行ったので2300円てしたが、通常だと3000円近くするのでしょう。
3000円はちょっとな〜と思いました。

ハードの開発費や導入費、メンテナンス費を考えると運営側は1000円でも厳しいのではないかと思いますが、映画館離れが言われている昨今、追加で1000円払いたいという体験を提供できているのか微妙なところです。

定額の映像配信サービスがここまで広まるとは数年前は想像できなかったので、映画館が差別化をするために巻き返しを図ったのでしょうが、今のままだと厳しいと感じます。


実際に4DXではシーンに合わせて座席がガタガタと動き、ゲーセンにあるカーゲームのようなものです。
パトレイバーだと、序盤にレイバーと呼ばれる巨大ロボの戦闘シーンがあり、ここぞとばかりに座席が揺れます。
この時、映像の視点が何度も切り替わり、その度に頭がどういう視点の映像か理解する前に、振動がくるので、脳が混乱します。
単純に揺らせば良いというものではありません。
パトレイバーという映画は細かいカット割りが続くようなものではないので、まだ良いのですが、数秒でシーンが切り替わるのが続く映画だと、疲れてしまうでしょう。
監督によっては、映像を細かく切りまくるので、そういう人の映画には向いていないと思います。
また、余分な情報が入ってくることで、映画を理解できなくなるという欠点もあります。

慣れるまで違和感があるのは、映画は基本的に第三者視点で全体を観ており、登場人物に共感はしても、登場人物を含めて状況を「観察」しているのであって、「体験」しているのではないということです。
なので、劇中で雨が降ったからといって、なんで自分が濡れるの?という違和感があります。
この辺りは、慣れもあるし、旧来の映画としてみるか、アトラクションとしてみるかで捉え方は変わると思います。
人物を写していない遠景の雨シーンなんかは、違和感はなく、これはアリだと思えました。
万人が納得する使い方は難しいのかもしれません。
「映画館で雨が降った、スゲー!面白い!」では、いずれ飽きられてしまいます。臨場感を出すための装置が逆効果になっている部分があるので、そこが改善されると1000円払っても良いと思えるでしょう。

臨場感という意味では、5.1chは違和感はなく受け入れられたんですよね。
今、聞いてもサンプルのヘリのローター音が後ろから聴こえるのはちょっとした感動を覚えます。
ヘリのローター音と同じような、4DXとはこんなもんだよ、というサンプルが上映前に流れる(座席が揺れる)のですが、これは違和感があります。

臨場感を出すという考えでは、音も振動も似たようなものだと思うのですが、なんで振動は素直に受け入れられなかったのだろうかという疑問があります。
5.1も重低音を効かせて、振動がくるのでそこまで違和感がなくてもいいと思うのですけど。
映像、音声、重低音、激しい振動が同時に発生した際、脳が映像を処理している時に激しい振動を検知して、一時的に他の処理を止めて振動の原因を探ろうとしているのかもしれませんが、実際のところは分かりません。


面白そうなのが、完全に一人称視点の映画です。FPSと呼ばれるゲームみたいなものなら、バッチリです。
実際、面白いと思ったのが、車の運転席視点のシーンです。まんまゲーセンのカーゲームなのですが、相性はバッチリでした。
後、意外にも良かったのが立ちくらみのようにくらっとくるシーン、こういう使い方もありなんだと思いました。

過去に一人称視点の映画があるのか分かりませんが、有名な作品ではブレアウィッチプロジェクト(見たことないので想像です)が近いと思います。
色んな実験的な映画があるので、一人称視点も探せばあるのではないでしょうか。

一人称視点視点ではないのですが、1カットで一発撮りした映画でも合う気がしますが、それだと座席が動くようなシーンはないでしょうね。

とはいえ、4DX専用の映画を作るのは、なかなか難しいでしょう。
最終的には有料配信で収益化することも視野に入れると、映画館でないと楽しめないのは、作られる可能性は低いでしょう。

既存のコンテンツを流用して、なんとかなりそうなのが、FPSゲームの実況動画もどきです。
ゲームによっては、ドラマとして映画一本分のストーリーが成り立つものがあります。
それなら元々一人称視点だし、新規に撮影する必要もありません。
折角のマルチエンディングが一本しか見られないという問題はありますけどね。

ゲームの内容をそのまま流したものに誰が金を払って観るんだよ!という意見はあると思いますが、それを言ったら今回のパトレイバーなんて、私のような一部の例外を除きほとんどの人が既に見たことある人がお金を出して見に来てると思います。


とはいえ、費用面でいうと、
過去映画焼き直し<ゲームの映画化<専用映画作成
となると思うので、ゲームの映画化もなかなかハードルが高いとは思います。

バイオハザードのように映画とゲームのメディアミックスは昔からありますが、新しいメディアミックスの方法もあるではという気がしてきました。


あと、改善して欲しかったのは、雨が吹き付けるタイミングで空気の吹き出す音がして、何かくるというが分かってしまう点です。
ようやく、4DXに慣れてきたのに、現実に引き戻されるようで興醒めしてしまいました。


上手くすれば、化ける可能性はありますが、3Dのように煮えきらないまま終わるのではないかという予感がします。